JT : 日本タバコ産業(2914)は買いか? – 株価2000円割れ、驚異の配当利回り8%超え

先日JT : 日本たばこ産業(2914)の株価が2000円を割っていたため、余っていた資金で100株買い足しました。

高配当銘柄として非常に有名で初心者からベテランまで多くの投資家に人気のあるJTですが、
はたして現在この銘柄は買いなのか考察します。

04月30日(木)に控えているQ1決算も注目です🚬
(I am not 喫煙者.)

JTってどんな企業?

JTといえばたばこです。
海外たばこによる収益が最も高く、売上の9割がたばこ事業で残り1割弱が医薬・加工食品となっています。

出典 : jti.co.jp

事業の伸び率(前年度比)としては海外たばこ以外は減収という厳しい状況です。

  • 海外たばこ – 📈
  • 国内たばこ – 📉
  • 医薬 – 📉
  • 加工食品 – 📉
出典 : jti.co.jp

昨今のたばこにおける社会的な逆風もあり業績は低迷し、純利益も右肩下がりの状態です。

出典 : kabutan.jp

チャート

以下は過去15年間におけるのJTのチャートです。

リーマンショック後(2008年)、アベノミクスにより株価を上げてきましたが、
業績を反映するかの如く2016年から右肩下がりです。

また、後述する通り海外投資家/法人の保有率が減少している事も起因しています。

出典 : TradingView

配当金

JTといえば配当金に尽きます。
現在20万円(単元100株)で年間15,400円(税引き前)の不労所得を得る事ができるため、
値だけ見れば大変魅力的な銘柄です。(配当利回り約8%)

2020年まで順調に配当金を増配し続けてきた一方で、
業績の低迷による配当性向の高さが示すように2020年度は減配も予想されていましたが
一旦は現状維持予定という形になりました。

配当性向は90%近く一般的な企業であれば減配必須という状況のため、
リスクがある事を考慮して買う必要があります。

出典 : jti.co.jp


以下は経営計画2020のプレゼンテーション資料から抜粋した画像となります。
配当金は安定性を重視し154円を予定 の 「安定性」が何を指しているのかピンときませんでした。

  • 配当の安定性? (減配しない)
  • 企業の安定性? (増配しない)
出典 : jti.co.jp

配当金を維持する(できる)理由

1.大株主が政府

以下はJTにおける大株主情報です。
JTはいわゆる国有企業であり、法律上の義務の元に発行株式数の約33%を政府が保有しています。

国との関係があるが故に、簡単に配当金を下げる事ができないと考えています。

出典 : jti.co.jp

余談ですが、主な国有企業として他に 「日本郵政」「日本電信電話(NTT)」などがあげられます。

2. 健全かつ強固な財務状況

業績自体は不調ですが、以下の通り財務状況は良好でありキャッシュもため込んでいるため会社が傾くリスクは低いと言えます。

  • 営業利益率 20%超
  • 自己資本比率約 50%
出典 : buffett-code.com

会社の持つのリスク

2兆円を超えるのれん

JTは多額ののれんを抱えてる事でも有名です。

のれんとは?

のれんとは買収プレミアムとも呼ばれ企業買収時にその企業の純資産に上乗せして支払った額を指し、
以下図のように資産(無形固定資産)として計上します。(買収価格 – 純資産 = のれん)

のれん」とは 見えない資産の対価: 日本経済新聞

2019年決算レポートによるB/Sシートを見ると、JTの資産におけるのれんの割合は30%超。
※2よりその殆どが海外事業の買収により発生したものだと分かります。

出典 : jti.co.jp

のれんは日本基準においては一般的に20年以内に償却しなければいけませんが、
国際会計基準(IFRS)を適応しているJTはのれんを償却する義務はありません。
つまり、のれんの償却を損益に計上する必要がなくなるため、その分利益を多く出す事ができます。

一方で買収した企業の業績が想定よりも悪い場合はのれんに価値が無いと判断し、
決算時に特別損失として計上する必要があります。

それ故、JTにおいてもいつ多額ののれんが損失として計上されるか読めないため、
時限爆弾的な扱いで投資家達に警戒されています。

世界的なタバコに対する逆風

出典 : daiwa.jp

近年ESG投資という環境や社会に配慮している企業に投資していこうという流れが世界に波及しつつあります。

欧州・北米などではESG投資が先行して拡大しており、
たばこ関連銘柄は「逆ESG銘柄」とも呼ばれこれらの影響でJTの外国投資家保有比率も右肩下がり、
株価を押し下げている要因の一つとなっています。

まとめ

  • 良い点
    • 配当利回りが高い(約8%)
    • コロナショックの影響もあり比較的割安状態
    • 財務状況が良い
    • 良くも悪くも政府が後ろについている
  • 悪い点
    • 業績が右肩下がり
    • 配当性向が高すぎて減配リスクあり
    • のれんのリスク
    • たばこという世界的に逆風なジャンルが主な収益源
  • 結論
    • 現状では業績回復の見通しもなく減配リスクもあるため、買いたい場合はポジション少なめ推奨
    • 高配当ポートフォリオを組んでるなら数%組み込むのはあり
    • JTを買う前に海外タバコ銘柄の検討も(アルトリア、フィリップモリスなど)

おまけ

JT集中投資している投資家の @でらさん という方がいます。
30,000株以上保有しているため評価額約6000万円、配当金(税引き前)約500万円とインパクトが凄いです。

これだけ大量保有している事もあり、JTに関する知識は豊富で
有益なツイートも多いためホルダーはフォローしておくと良いと思います👇

※本人様に許可をもらいご紹介させて頂いております

コメント